商品のネーミングに「方言」を使うのはよくあるパターンです。
でも実はそのネーミング、ちょっと危険かもしれません。
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方言を使ったネーミングがなぜ危険なのか
商品パッケージにおいて、「ネーミング」は売上を左右するとても重要な存在。
そのネーミングに、「方言」を使っている商品をよく見かけます。
・その土地に親しみを持ってもらえるように
・興味を持ってもらえるように
・地域性を出せるように
・地域をアピールできるように
…というねらいは、感じとることができます。
でも、本当に方言のネーミングで地域のアピールはできるのでしょうか?
興味を持ってもらえるのでしょうか?
方言は相手に伝わらない
全国各地の商品開発に携わっている 渡辺和博氏の著書、
『地方発ヒット生む逆転発想のものづくり「稼ぐ地方へ脱皮しよう」』
の中で、
「方言や外国語のネーミングに要注意」
と指摘がされています。
それを読んで、私自身も「なるほど…(汗)」と思ったので、ここで一部紹介します。
地方発のヒット商品を作るための奮闘を各地で取材させてもらいながら、「これはいただけないな」といつも思うことがあります。その1つが商品やサービスのネーミングに、地域の方言を使うことです。理由は、ひとえに内容や価値が伝えたい相手に伝わらないからです。
地方発ヒットを生む 逆算発想のものづくり 「稼ぐ地方」へ脱皮しよう
そう。
他の地域の人には、その方言は伝わらないんです。
「そんなの当たり前じゃん!
だから、方言を使って興味を持ってもらうんだよ」
という声も上がるかと思います。
(実際、私もそう考えていました…)
しかし、お客さんというのは、
あなたが思っている以上に「考える」ことをしないのです。
商品を一目見たその一瞬で、「分からないモノ」は選択肢から外されてしまいます。
関西弁のようにメジャーな方言なら大体の人にすぐにわかってもらえると思いますが、マイナーな地域の方言だったら住民以外は理解することができないでしょう。
「この変な言葉、何だろう?」
と思って自分で調べる人はほぼゼロだと思います。
パッケージに説明を書いたとしても、その文章をちゃんと読む人すらほとんどいないでしょう。
消費者目線を持たないその姿勢がNG!
方言自体が問題なのではなく、
「伝わらない言葉をネーミングに使う」
という姿勢そのものに問題があります。
分かる人だけを相手にすることや、知りたければそっちで調べろという姿勢そのものが、今日の市場を相手にしたビジネスでは決定的に不利なことだと思います。
地方発ヒットを生む 逆算発想のものづくり 「稼ぐ地方」へ脱皮しよう
(中略)
単にその言葉が問題なのではありません。相手に伝わらないネーミングを採用してしまう、消費者目線をまったく持たない感覚が問題なのです。それを改めない限り同じような過ちを繰り返すでしょう。
確かに、独りよがりな商品開発になってしまうのは良くないことです。
私個人としては、実は方言のネーミングって結構好きなんです。
でもそれは、私がローカルな商品に興味があるからであって、多くの人にとってはそうではないと気づきました。
方言が由来の有名商品もある
とはいえ、方言のネーミング自体を全否定することはできません。
・いいちこ(焼酎)/「いいちこ」:大分弁:良い
・ばかうけ(せんべい)/「ばか」:新潟弁:すごい
・ICOCA(ICカード)/「行こか」:関西弁:行こうか
・美ら海水族館(水族館)/「美ら(ちゅら)」:沖縄語:美しい
など、方言が由来になっている有名な商品やサービスが存在するのも事実。
ただ、ネーミングがきっかけで有名になったというよりは、多方向からの総合的なプロモーションにより愛される存在になったのです。
注意すべきなのは、「内輪ネタ」で終わってしまわないようにする、ということ。
「地域をアピールしたい」という想いが強いゆえに、作り手目線に偏りがちなローカル商品。
興味がない人にも知ってもらいたい、という思いがあるのであれば
一旦作り手の想いは横に置いて、
「何も知らないお客さん」目線をイメージしてみましょう。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
あなたの商品ネーミングのヒントになったら幸いです。