商品はパッケージが大事とは言いますが、凝ったパッケージを作ればいいというわけではありません。
目的によってはパッケージを作らないという方法もあります。
今回は「パッケージを作らないこと」について、事例を交えながら話していきたいと思います。
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パッケージはそもそも作らないといけないのか
目的によってパッケージのあり方は変わる
私は、パッケージの役割を一言で表すと「ちゃんと届けること」だと思っています。
繰り返しになりますが、「パッケージは大事=豪華で凝ったパッケージを作ったほうがいい」ではないのです。
豪華なパッケージを作った方がいいのは、豪華なパッケージにしたほうが買ってほしい人に買ってもらいやすい という場合です。
届けたい人に商品を届けることができれば別にデザインや加工に凝ったパッケージにしなくてもいいし、そもそも一からパッケージを作らなくてもいい場合だってあるんです。
イメージは昔のお豆腐屋さん
そもそも、昔は今のようにパッケージがこんなにたくさん存在しませんでした。
例えば昔のお豆腐屋さんはラッパを鳴らしながら屋台で売り歩き、豆腐が欲しい人は自宅のお鍋やボウルを持って買いに行き直接豆腐を入れてもらうというスタイルでした。
(残念ながら、私はこのスタイルのお豆腐屋さんを見たことがありませんが…)
この場合、お豆腐屋さんが買ってほしいのは自分が歩いて回れる地元の人だけです。
自分の手で直接商品を渡すことができるため「流通」という経路が挟まれないので、パッケージに入れる必要もありません。
では、お豆腐屋さんが「もっと日本全国の人にうちの豆腐を味わってほしい!」と思った場合はどうでしょうか。
当然ながら、豆腐をパッケージに入れて密閉し、トラックで運んだりスーパーの棚に並べられるようにしないといけません。
パッケージデザインも、買ってほしい人が好みそうなものにしていく必要があるでしょう。
このように、届けたい人や目的によってパッケージのありかたは変わってくるんです。
企業の理念を伝えることもできる
届けたい人や目的によってパッケージのありかたは変わる。
ということは、パッケージへの考え方がそのまま企業(お店)の理念を表すことにもなります。
パッケージを考えることはそのまま、自分の思いや姿勢を伝える行為でもあるんです。
「パッケージを作らない」の事例
容器持参のビール量り売りスタイル
これは、持参したペットボトルに量り売りのビールを詰めてもらったもの。
滋賀県のビール醸造所HINO BREWINGが企画した、持参したの容器に酒屋さんのタンクから直接詰めてもらうというビール量り売りイベントで購入しました。(常時は行われていません)
このイベントでは、量り売り用の瓶や容器を用意するのではなく、お客さん自身に用意してきてもらいます。
そして、ビールを詰めたら仕上げにロゴマークが入ったシールをぺたり。
イベントのためにパッケージを新たに作るようなことはしていませんが、地元の人が持ち帰ってもらうという目的は果たしているし、シールを貼ることで中身が分かりやすいし自社のアピールにもなる。
ある意味これも立派なパッケージだと思った体験でした。
D&DEPERTMENTの紙袋リサイクル
「ロングライフデザイン」をテーマとしたセレクトショップ「D&DEPERTMENT」。
このお店で使われる紙袋は、家庭で不要になった紙袋を各店舗で回収し上からラベルを貼ってリユースするという「リサイクルショッピングバッグ」というシステムです。
この事例は、一から紙袋を作らないというところがポイントです。
この取り組みの目的は、新しいデザインや製品を作り続けるのではなく、すでにあるデザインや製品の中にある普遍性を見直し、それを使い続けたり、もう一度欲しいと思われるものに変えていくことにあります。
この紙袋リサイクルの取り組み自体がまさに、意味があり継続性があるものに豊かさを求めていく「ロングライフデザイン」という企業の理念を表しているのです。
商品を作ったから必ずパッケージも新たに作らないといけないということはありません。
まずは自分が誰に商品を届けたいのかを考えてパッケージ作りに進んでみましょう!